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ブックマーク『3』

:

写真とTattoo、記憶と記録


フォトグラファーのKelly Liuです。

今回のブックマーク3では、私がクリエイティビティの刺激を受けたタトゥーアーティストをご紹介します。日本ではまだまだ一般的ではないかも知れませんが、様々な文化や自身のアイデンティティを表すものとしてタトゥーは存在し、世界では多くのタトゥーアーティストが活躍しています。

繊細でドラマティックなタトゥーの表現をぜひご覧ください。


 

① ミニマリズムを追求した幾何学的な模様 “okanuckun”

直線と曲線によってミニマムに描かれた幾何学的なデザイン。

ニューヨークを拠点に活躍するokanuckunは、トルコをルーツに持つアーティストで今とても人気を集めています。暗号のようにも思えるデザインはどこか神秘的で神聖さを感じさせます。

 



直線と曲線は、私自身も作品で表現するモチーフのため、彼の作品にシンパシーを感じています。
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  撮影 KellyLiu



 

② 繊細で正確なライン、職人の技術力 “nabetattoos”

タトゥーのアイデアやデザインでは海外アーティストに注目が集まりがちですが、日本のアーティストはその繊細さや正確さ、高い技術力が魅力です。

 

 

 

私の左腕のタトゥーはこちらの「nabetattoos」さんに彫ってもらいました。戦い続ける美しい魚「ベタ」です。美しいひれで優雅に泳ぐのに、強い闘争本能を持ち、相手がいればどちらかが死ぬまで戦い続けます。このタトゥーを見るたびに自分を奮い立たせるような気持ちになります。
 

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③女性、植物、繊細な表現で不思議な世界を描く “keemode775”
 

keemode775は台湾のタトゥーアーティストです。ゲームのキャラクターデザインからキャリアをスタートさせ、女性や花、植物や猫など繊細でストーリーのある独特のデザインを描いています。彼の世界観は美しいのにどこかダークさがあり、魅了されます。

世界にはたくさんのタトゥーアーティストが存在しますが、彼の作品を見た瞬間に心に突き刺さるものがありました。いつか私の写真とのコラボレーションをお願いしてみたいアーティストの一人です。



 

強さがあるものは、歴史や背景、そのストーリーがある


タトゥーを身体に彫るときは当然ながら痛みがあります。肌を焼き、傷をつけますが、身体はそれらを修復しようとする。その過程は、自分自身が痛みや悲しみから立ち上がっていく姿と重なります。
 
私の右腕にはセルフポートレートをモチーフにしたタトゥーがあります。先にご紹介したkeemode775に彫ってもらいました。
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悲しみに襲われて崩れ泣く女性の身体から、するりと伸びていく植物の葉。“Reborn”という言葉がテーマになっています。繊細でダークなこのタトゥーには、悲しみに沈み切った地点からもう一度立ち上がろうとする「しなやかさ」が表現されています。

私にとってこのタトゥーは、すべての悲しみを封印し前を向くためのパワーをくれるタトゥーです。

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心で感じたことを身体にも刻むこと。
それは記憶と記録が癒しやエネルギーに変換される写真にも似ているように思えます。

 

 
文/Kelly Liu
写真/盧 瑞亭





 

劉 怡嘉Kelly Liu

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