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CAMERA! CAMERA! CAMERA! / 愛用カメラと作品、シンプルにその話 vol.02

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フォトグラファーがカメラを語る連載コラム。 フィルムカメラを愛用するフォトグラファー高田祐里が作品とともに解説します。

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まえがき  - カメラのこと

なぜそんなに不便なカメラを使うのか、とよく聞かれます。

重たくて、壊れやすい。すぐに画像を確認できない。
だけれども、じっくり撮影することで「被写体」と対峙する時間が生まれる。
それは、自分が本当に心惹かれるものが何なのかをはっきりと自覚できる瞬間に出会うために必要な時間です。

風景を「切り取る」という言葉がありますが、写真を撮ることは、
「写したものを自分のものにする」「時間を捕まえる」行為だと思うのです。
大切にしたいのは、1シャッターずつに覚悟や決意を込めること。この行為があるからこそ、時には自分の中の意外な一面を見ることもあります。
発見することが、新しい制作に繋がっていく。これが私がフィルムカメラを使う目的であり、魅力的なツールだと思う理由です。




 

01. 黒い箱の中の宇宙+レンズ描写の素晴らしさ

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→ ​「Hasselblad 503CW

中判一眼レフの最高峰と言われているカメラです。
便利なのは、レンズやファインダー、フィルムマガジンがそれぞれ交換可能なこと。一番軽いファインダーは「ウエストレベルファインダー」と言って上から覗くタイプなのですが、これが左右反転の鏡像のため、フレーミングは慣れるまでちょっと手間取ります。ただ、それがこのカメラの魅力でもあります。


周りを黒に囲われたファインダーを覗くと、箱の中には光につつまれた小さな世界が動いています。
1枚ずつシャッターを切ることが、大切な景色たちを四角い箱におさめていくような、そんな感覚に陥るカメラです。

そしてレンズの描写力。シャープさとぼけ味の柔らかさ、色味、どれを取っても自分のイメージにぴったりはまりました。何年も、制作に欠かせないカメラとして持ち歩いています。




 

02. ばけもの一眼レフ、使いやすく高解像度

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→ 「ASAHI PENTAX 6x7

その大きさゆえ、一眼レフのお化けと言われています。ばけものペンタックス、通称「バケペン」。

35mm一眼レフと似た形のため、35mmカメラを使い慣れている人なら本当に使いやすい中判カメラです。そして露出計付きでスナップ写真にも便利です。ポートレートなど、目線の高さからすぐに写真が撮れるので人物撮影にも使っています。


しかし、2kg超えの超重量級カメラ。カナダで撮影しながらトレッキングした時は、首がもげるかと思いました。

中判カメラはその粒子の乗り方や、35mm版と比べての解像度の高さがとても好きです。
大きく引き伸ばして、何日もかけてゆっくり見たくなるような、そんな写真が撮れるカメラです。




 

03. レンジファインダーの最高峰、憧れの名機

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→ 「LEICA M3」

言わずと知れた、フィルムカメラの最高峰。
とてもコンパクトで機動力抜群です。ピントも合わせやすい。


「レンジファインダーカメラ」と言って、ファインダーで覗く景色とレンズに角度差が生じるため、時には困ることもあるけれど、そこも面白い。

突然、昇格祝いにと父がプレゼントしてくれたことがきっかけで、日常を撮るのに使っています。
本来のものの魅力を少しドラマティックに映し出すカメラだなと思います。そして、光を写すカメラだなとも思います。
柔らかくてなめらかな人肌のような、いつまでも持っていたくなる感触を持っています。きっと私がおばあちゃんになっても使えるカメラです。




 

04. ノスタルジーのかたまり、インスタントカメラ

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→ 「Polaroid SX70」

ポラロイドの代名詞とも言えるビンテージインスタントカメラです。折りたたむとぺったんこの辞書のようになります。こう見えて一眼レフのため、想像以上に撮りやすい。ピント調節や明るさの補正もできます。


現在インスタントフィルムは少し高価ではありますが、写真を撮って、何分か待って、そうするとボワっと像が浮き出て来る。
この1枚の紙に対する化学反応が、本当に写真らしい事象だと感じます。




 

あとがき


私にとって作品を作ることは、自分自身を見直す行為です。

好きなものだけでなく、きらいなもの、うまくいかないことだって全てが私自身だと思います。
土を掘ったらどこかで水が出るように、自分の中の水源を見つけることをずっとしている感覚です。
水源はいろんな場所に、しかもいろんな大きさで見つかり、唐突な場合もよくある。それが楽しくて、とてもいい。

たぶんずっとこの先も、掘り起こして、時には埋め戻して、少しずつ積み重ねていくのだと思っています。


 
文/写真:高田祐里




 




 

高田 祐里Yuri Takada

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