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THE NEXT VISUAL EXPLORATION 前編

:

テクノロジー X クリエイティビティの融合から生み出される、新しい表現の追求

VFX、プロダクトCG、フォトレタッチ、あらゆるCGIソリューションを手がけるaman Visual depertment。
2014年以降、アパレルメーカーへのソリューションとしてフルCG衣服の制作を開始。360スキャニングスタジオを併設しフォトグラメトリーの技術を用いたバーチャルヒューマン制作も手がけてきた。

 
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今やファッションシーンのスタンダードとなりつつある、バーチャルファッション & バーチャルヒューマン。見過ごすことのできないその可能性を、どこまで追求することができるだろうか?

実験的な表現を試みる新世代のフォトグラファー広光がそれぞれの分野のスペシャリストと共にフルCG でビジュアライズ化を試みた。
 

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とても危険なものをつくるような気がした - 広光 (Creative Direction)


    プロジェクト依頼を受けて
 
広光:モデルも服もメイクも空間も全てを自由自在につくることができる。
これがもしうまく成立するならば、カメラを持たなくても仕事ができ、フォトグラファーの職域が広がる。ただ、絵作りやディレクション・ライティングができない、なんとなくスナップ感覚で撮影をしているようでは仕事を失っていくのだろうなと。実際に撮影する仕事を減らし、自分たちの首を絞めるような、とても危険なものをつくる気がした。

 
HIROMITSU 広光
1989年富山県生まれ。愛知県立芸術大学卒業。現在、UN.incに所属。
NONIO ART WAVE AWARD 2019 石井孝之 選 審査員特別賞
第21回、第13回グラフィック『1_WALL』入選など


 
3Dって、表現として周りにあふれてはいる。でもいざ自分がそれをつくるとなると「何から始めればいいんだろう」というくらい全く解らなかったです。フィルムからデジタルに移行したように時代によってメディアも表現も変わっていくので、今回の依頼があった2020年5月のタイミングでは、コロナの自粛期間中で「撮影以外」で何か表現したい、フォトグラファー以外の軸をつくりたいという気持ちが強くあったので、これはやるしかないと。

 
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- 想像上の姿から解き放たれた、現代の天女 -

「バーチャルヒューマン」という現実と非現実の狭間にある存在を
世界中で語り継がれる「天女伝説」をもとに、現代的にキャラクタライズし
オートクチュールを組み上げるように、全てをゼロからあつらえていった。

自らの意思で勇気をもち、自己表現や思想を主張することができる。
そんな現代の若者を象徴するキャラクターを目指した。

HIROMITSU​

 

 

: PHASE 0 - 「IDEA MINING」


    ブリーフを受けて

広光:最初に*incubation チームの取り組みを拝見し、同じ会社なのに全く知らなかったし技術としてすごいなと思いました。特に動画で表現される3Dならではのアウトプット、動いているからこそ感じる素材感が面白いなと。
 * amana incubation unit  - バーチャルファッションやバーチャルヒューマンなど、新しい3D商材の開発を行うチーム。



「素材感」「浮遊感」「リアル」といった、彼らが得意とする3Dで服を作れる技術に加え、世界観や物語をバックボーンにキャラクターをCGで構築する技術があれば、フルCGですべてを表現できるのではないかと考えました。

 
 
      キャラクターと物語、どのように膨らませていったか

 
広光:考えを巡らせる中で、何か日本的な要素を衣服にデザインしてみたいと思いはじめました。いろいろ調べていく中で、世界中で語り継がれている「羽衣(天女)伝説」にたどり着き、今回のテーマである「衣服」と「バーチャルヒューマン」それぞれの存在をうまく表現することができそうだと、そこからさらに物語と設定を詰めていきました。
 
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*バーチャルヒューマンの定義・企画書から抜粋

 
風をうけふわっと宙に浮く、空から落ちてくる、空を飛ぶなど日本のアニメには多く登場しますが、それが「落下」に見えてしまうと重力に抗えない動きになってしまう。このキャラクター自らが強い意志を持って「向かっていく」様子をしっかり描くことには特にこだわりました。
 
何かが始まろうとする東京の夜明けに、何かが近づき舞い降りるその瞬間の疾走感を企画書に落とし込みました。

 

 

:PHASE 1 –「WARDROBE DESIGN」


    スタイリング or  ゼロからつくる…?  

通常のフォトシュートでは、ワードローブスタイリストがフォトグラファーなどからのブリーフを受け、企画に合ったスタイリングを既製品から提案することが一般的。今回のプロジェクトでは、3D空間上に衣服を「つくる」必要があった。その方法とは?


広光:
当初は、スタイリストさんにスタイリングを提案してもらい、それらを参考にパタンナーさんに衣服のパターンをおこしてもらうというような話もありました。ただ、それではこの企画とマッチしないと思っていたため、若く才能にあふれたデザイナーの立花竜誠さんにゼロからデザインをお願いし、パターンまで起こして頂くことになりました。

 
     衣服デザインのブリーフ、そのポイントは?
 

広光:キャラクターの設定や、その背景にある物語を伝えて基本的には立花さんにお任せをしました。今の若い世代の感性をすくい取れるようなものでありたい、と。
もちろんincubationチームのブリーフを受けた時から、「浮遊感」や「素材感」をしっかり表現することは意識していたので、それがわかるデザインやさまざまな素材を組みこんでもらっています。



 

    プロジェクトの依頼を受けて
 
立花今回のお話をいただいて、最初に、3D空間上に生きるこのバーチャルヒューマンの女性像を「ありのままの自分自身を表現し、強く未来へ突き進むTeen ager」と想像しました。


立花 竜誠
1996年東京都生まれ。
文化服装学院アパレルデザイン科卒業後
UNDERCOVERやアパレルメーカーで縫製・パタンナーを経て21年独立
22年 Nocturne(Ryusei Tachibana)立ち上げ予定


今って、SNSなどの発達により、昔に比べて思想やファッションなどの自己表現・自己主張がしやすく、個人が尊重される時代へと移り変わっているように感じています。そして、それを個性として自分の強みに生きている若者が増えてきている。勇気を出して、自己表現や思想を主張し生きる若者は、とても強い「現代を生きる戦士」なのではないか?と考えデザインのテーマを「Modern time warrior/現代の戦士」と掲げました。



    具体的には、どのようにデザインへ落とし込んでいったのでしょうか?

立花デザイン出しの際に大事にしたのは、この女性の人間性を想像し「強く芯がありながらも、多様性を受け入れる柔軟性のある心」が感じられるようにする事でした。そういった強さや優しさは、硬いレザーのジャケットと繊細な糸で組まれたリバーレースのブラウスといった素材のコントラスト、ブルーやピンクの混ざりあう柔らかさと対象的な深いブラックのカラーの組み合わせとしてデザインへ昇華されました。又、硬い質感のゴールドのベルトやバックル、シューズのソールやチップなどには若者の強さや輝きといった思いが込められています。
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たっぷりと生地を使用し、大きく自由に揺れ動くスカートのグラフィックは、天女伝説を元に、姿を隠し白鳥として水浴びをしている天女とそのシーンをイメージしました。大きな白鳥、別の星から来た事を連想させる月面のような柄、日本特有の「墨流し」を取り入れ組み上げていきました。様々な要素を取り入れた衣服ですが、自由に強く生きる「Modern time warrior/現代の戦士」を少しでも感じて頂けたらと。
* オリジナルで制作されたスカート・展開図



     3D衣服のデザイン・制作を通して

立花初めて3D衣服制作に携わらせて頂き、技術の進歩を改めて感じました。実際に作り上げるまでの時間やコストを考えると、とても画期的だと感じました。一方で、手仕事でしか作り上げる事の出来ない伝統手法や技術の素晴らしさについても改めて考える事ができました。古いものから新しいものへ移り変わる中、それぞれの良さや足りない所を補い合えるような物作りを続けていくことがファッション業界の一つの課題でもあるような気がしました。

とても自由にデザインを提案させて頂き、細かいディテールやイメージを何度も相談をしながら作りあげることができ、チームの1人としてこのプロジェクトに携われたこと、とても嬉しく思います。


 

:PHASE 2 –「3D WARDROBE CREATION」



     3Dソフトへの組み込み

デザイン画からパターンが完成し、ここからは3Dソフト上で衣服の制作が開始される。
その工程をCGディレクター豊嶌に聞いた。

 
 
豊嶌ひと昔前までは、3DCGで衣服を制作することは手間のかかるものでした。現在は開発が進み、布の複雑さをより効率的に表現出来るようになりました。


豊嶌礼緒生
1992年埼玉県生まれ。
東海大学 教養学部 芸術学科 デザイン学課程 グラフィック専攻
レタッチャーとして活動後、amana / incubation secに所属
スポーツ、ファッションブランドのカタログ・販促動画など3Dアパレルを中心に手がける


実際に服を縫製するにはそれぞれのパーツの型となるパターンが必要ですが、同様に立花さんに2Dでデザインを起こして頂き、その後CADのパターンをご提供いただきました。
 
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工業製品を3DCGで制作する際など、CADからデータ変換を行い、質感・ライティング・コンポジットとCG制作の一通りの流れを汲んで画作りすることがあるのですが、今回もその手法を取って進めていきました。

まず、頂いたパターンCADを、縫製専用ソフトに取り込みます。そして我々のチームに所属しているパタンナーが、服作りの正しい知見に基づきCG上で実際の服をつくるように縫製していきました。

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スカートのプリーツが複雑に重なり合うデザインのため、シュミレーション時に生地が互いに干渉しないように調整をかけながら、3Dにして気になる箇所は縫製の段階まで戻り修正を繰り返していきました。


またこのソフト上で、実際に立花さんからご提供頂いた生地素材、シルク・レザー・ファー・ニットなどの生地情報の詳細を数値で入力し、厚さや伸縮度などの物性を細かく設定していきました。
 
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この縫製用のソフトではマテリアルの設定が簡易的にしかできません。クオリティを上げるために、別のソフトへデータを移しマテリアルとテクスチャの詳細を詰めていきました。こうすることで、それぞれのアイテムの表地が正しくなり、3D空間上で環境光やリフレクションの影響を正確に受けたフォトリアルクオリティでのレンダリングが可能となります。
 

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CGアパレルに関しては、これまで数年取り組んできましたのである程度の算段がついていました。
一方、中身の「バーチャルヒューマン」に関しては特別な開発・制作環境がない中でのチャレンジ、どこまでいけるか・・・実は、ここからが本番でした。
 
 
THE NEXT VISUAL EXPLORATION – 後編 :PHASE 3 –「VIRTUAL HUMAN」へ続く


 

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Creative Direction : HIROMITSU
CGI : Reoki Toyoshima
Wardrobe Design / Patterns : Ryusei Tachibana
Hair + Make-up Design : Masayoshi Okudaira
Digital Sewing : Motohito Shimo / KyokoTakeuchi
 Special thanks : croobi / Ayaka Suzuki / Jin Hase





 

広光HIROMITSU

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