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3人のフォトグラファーが本気で切り撮る "it boy" 小河原 義経 vol.3 - 堀内誠 篇-

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フレッシュで鮮烈な個性を放つ、up comingな1人の男性を、個性の全く異なるクリエーター3名が全力で撮りおろす。 "it boys" 特集。

あのフォトグラファーなら、どんな表情を引き出すだろう?どんな世界観を切り撮るのだろう?日々広告写真を撮影するフォトグラファーたちに、今後の活躍が期待される ”it boy” をそれぞれの感性で撮り下ろしてもらうプロジェクト"it boys" (vol. 0 introduction / vol.1 秦和真篇 / vol.2 岩本彩篇

最終回、3人目のフォトグラファー堀内誠は、機械設計の仕事から広告写真の世界に転じた。精密なスタジオライティングや高度なレタッチ設計も得意な技巧派だ。


Theme:Color on Color on Color
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色彩と質感を極めるアナログな挑戦 : 堀内誠

被写体が女性ではなくて男性の小河原さんというのが、この企画の面白さですね。
現状として、女性を撮影する場合「きれい」「美しい」「かわいい」という着地点を設けないと成立しないケースが多くあるので。今回は、フェイスペイントを施し美しさと男らしさが共存する画を目指して、幅広い可能性を探りました。
 
注目したのは、肌の質感です。写真における「美しさ」って、ツルッとした質感が求められることが多い。けれど今回は、毛穴とか産毛といった実際の人間らしさを隠したくなかったんです。肌の粗さを残し、かつ美しく撮るのは難しい。そこをあえてアップショットで撮影して、メーキャップで作り込んだものだとわかるようにしました。ふだんは後の加工も計算しながら撮影するので、撮影中にレタッチの話をしなかったのが久しぶりのことでした。肌の細かいコンディション、リップが少し荒れている感じ、髪の毛の一本一本の流れ、それらにどこまで手を入れるかーーそういうことって、後から自然に仕上げるのは難しいものなんですよ。だから、フラットになりがちなレタッチより、アナログで細部まで詰めていくことの方が合っています。狙った効果を出すために組み立てていく、写真の良さ、面白さもそこにあると思います。

 
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”色”から組み立てる”画”づくり

もともとカラフルな表現が好きで、空のグラデーション、花の色や質感といった自然色をよく観察して参考にしています。アートメイク的なボディメイクはやったことがありました。けれど今回は、顔や頭に色を塗りつつ、衣装や背景はカラフルだけどシンプルというミスマッチが面白いかなと。小河原さんのように鮮烈な個性があれば、顔周りにフォーカスしても色に負けなさそうですし。
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ヘアメイクは、フェイスペイントの経験も豊富なYOSHI.Tさんにお願いしました。
YOSHIさんと相談して、まず顔の色を肌のベースの色味に近い「ピンク」と「ゴールド」に決めました。緑やシルバーなど候補にありましたが、どうしてもコミカルな印象を与えてしまうだろうと。
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ふだんから肌の色に関しては気を遣っています。たとえば高揚感や軽い感じを見せたいときは少し赤味を入れたり、テーマに合わせて肌色を変えています。今回は「メタリック」。肌って汗をかいているときは艶っぽいけど、基本的にはマットな質感ですよね。だから肌の色に近いまま金属のような質感にすることで、別の表現ができるのではないかと考えました。生身の人間が被写体で表情も柔らかいけど銅像みたいに見えたり……今回、一番楽しみにしていたのはそこですね。特殊メーキャップではないけれど、蝋人形みたいにする案もありました。メイクによって実物を変える表現は、これからもやってみたいです。

最初はもっとポップなイメージで、髪色をオレンジにするつもりでしたが、平面で検証するのと実際に塗ってライティングをするのとでは全く違って見えるんですね。もとの髪色が黒だから悪目立ちしそうだったで、その場で青に変更しました。そこでポップさにはこだわらず、シンプルな空間をつくり、彼に自由に崩してもらうことにしました。立体的に彼の存在感を際立たせるため、補色を使った「対」感を出すつもりで平面的な背景を設定しました。ライティングは、派手にやりすぎてそちらにばかり目がいってしまわないように気をつけました。少し硬めの光で陰影を出して男っぽい無骨な感じに。
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そういうふうに、初めから決めていた部分と、実際に試しながら変えていく部分がありました。カラーリングの面白さを見せつつ、塗った質感を超える表情の強さも欲しかったのですが、撮影するうちに求めていたものが際立っていきました。撮影では、テンポやテンションをいつでも大事にしていて、最高の状態で写真に落とし込めるようにしています。

Special thanks to 松野下直大 (wardrobe stylist) / 安藤瑠美 (digital imaging)



 

『色』 小河原義経 

ここまで激しく変化するメイクは初めて。メイクでも服装でも、いちまい外に被っているから何をしてもいいでしょうと、思い切って世界に入りやすい部分はありますね。秦さんの撮影では小物で作られた世界観に入っていく感じでしたが、堀内さんの撮影では割と自由に作っていいと言われたので、空間を客観視して、こうなりました。
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撮影の前半では、「ロボットみたいにしよう」と言われたり「中性的な感じで」と言われたり、ざっくり表情を決めて、その間をいったりきたりしながら。撮影の後半では、髪の色を見せるとかポイントを決めて、その中で何ができるかを試しました。動作の終止点ではなくて、「動作の途中で止める」ことを意識したパントマイム風のポーズもありましたね。外のロケだと日光の加減で写りが変わるけど、スタジオだと色をコントロールできるから、そこが気持ちよくもありました。
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以前は黒い服を一着も持っていなかったぐらい「色」がすごく好きです。とくに、はっきりした色、原色、少し暗めの赤と青が好きです。赤と青って、両極端に見えるけど、たとえば火の色は、温度が上がると赤から青になるじゃないですか。両極端に見えてつながっている、同じ性質を持っていて、どちらも熱い色。単純な好みでもあるんですけど、あえて理由を考えるならそういうことです。

プロジェクトを通して

今回このようなプロジェクトに参加できて光栄です。
これからも意外性を持ちながら期待に応えられるよう日々鍛錬しようと思います。

それと僕が僕自身に言いたい事があります。
それは、物事を大きく考え 困ったら人に頼り 感謝と強さと弱さ、そして度胸を持ち自分の思いをぶつけろです。そして最後に一言。お前ならできる。

今後ともよろしくお願いいたします。



小河原義経 
映画やCM出演、ファッションモデルなどの幅広いフィールドで活躍し、出演したあいみょんのミュージックビデオでは大きな話題を呼ぶ。茨城県出身で18歳のときに専門学校進学のため上京。20歳でファッションにはまり、友人関係を通してモデルの道へ進み、さらに役者を目指して現事務所へ。ピュアで強いまなざしや、くるくる変わる表情が印象的な23歳。

officical website : http://numbereight-models.jp/portfolio-item/yoshitsune-ogahara/
instagram : yoshitsune_ogahara_

 
"it boys" project 第一弾は小河原義経さんとのコラボレーションでした。
義経さんありがとうございました!


 

堀内 誠Makoto Horiuchi

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