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RE-VIEW - She her her hers 「s」MV -

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記憶の断片のように「漂う感情」を映し出す。

コンテには落とし込まず、直接的な表現を排除し映し出されたストーリー。Director 山中祐貴、Cinematgrapher 秦和真が回想します。

    She her her hers「s」、静かな決意を感じる美しい楽曲ですね

Cam 秦 : 監督も私も以前からShe her her hersのファンだったので「s」のMVを撮影させて頂くことになり、本当に光栄でした。

Dir 山中 : 彼らの音楽性や歌詞のメッセージ性は素晴らしく、楽曲を聴くと情景やアイデアが思い浮かぶので、いつも刺激を受けています。「s」を初めて聴かせて頂いた時も「センセーショナルな時代になった」という歌詞が鮮烈に印象に残りました。動画に落とし込む時に、「時代」を軸に考えてみたのですがしっくりこない。最終的には、どんな人でも共感することができる“感情の動き”を軸に、センセーショナルな要素を入れ込んだストーリーをつくろうと決めました。

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    冒頭のシーンから、どこか断片的でハッとさせられる美しいシーンが印象的です。どんなコンセプトで制作されたのでしょうか?

山中 : 説明的な映像にならないよう、あえてコンテには落とし込まずムードフィルムをつくりました。その上で、15分くらいの尺で考えたストーリー「自分の気持ちを親友に伝えようとしている子と、それを予感している子」のある夜から朝にかけての物語の一部分だけを切り取った構成にしています。登場人物の心の動きにしっかりとした背景を持たせるため、前段の二人の関係性まで細かく設定しています。どんな大学のどんなサークルで出会って、何がきかっけで親友になっていった、とか。
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秦 : ストーリー自体は15分くらいの内容なので、実際の撮影素材は本編で使用されているカットの3倍以上あるんですよ。

山中 : そう。実は、二人が車に乗り込むまでのシーンの他いろいろ撮影しています。でも、オフラインまで採用していた、冒頭の数カットをごっそり削りました。どうしても説明的に見えてしまって。ストーリーを追いすぎない、エディットではその加減が難しかったですね。

秦 : Music Videoの映像って、広告と比べると記憶として残る「思い出」の一部にも成り得ますよね。ただ消費されるのではなく、どこかの誰かの心にはずっと残っていく映像にしたい、と常に考えています。今回の現場でも、その瞬間の感覚で「いい」と感じた画をどんどん回していきました。最終的には、そういったインサートカットが効果的な構成になったのではと思います。
 
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    撮影はどのように進んでいったのでしょう?

山中 : 撮影当日は、日没から早朝までとにかくタイトなスケジュールでした。雨が降ったり、止んだりなどいろいろな制約がある中、撮りたい画を妥協したくなかった。プロデュースチームとはずっと攻防戦でしたね。

秦 : 本当にタイトでしたね。キスシーンがこのMVの映像のキーになるため、絶対に良くしたいと思っていたんですけど、香盤は夜のシーンからかなり押してしまって。刻一刻と白んでいく中、朝日が昇るギリギリのタイミングでなんとかキスシーンのセッティングに間に合わせて。
 
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山中 : 早朝の海のカットは、日のまわりと香盤的にも移動の時間が取れないため、キスシーンと同じ海辺で撮影する予定だったんです。でも、直前になってプロデューサーの反対を押し切り、抜けがよい別候補の海岸まで移動して撮影したりもして。

秦 : そういう、現場判断で撮影したカットは多いですね。ロケーション撮影の場合、根本的にロケハンでガチガチに決めたくはないんですよね。やっぱり、その日のその瞬間の光で判断したい。結果的に美しい映像が撮れたと思います。
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ナイトシーン、シネマティック、ハイスピード。


     今回使用した機材の「RE-VIEW」をお願いします

山中 : Blackmagic URSA Mini Pro 4.6K G2を使用しました。夜のシーンやハイスピードのカットを多く予定していたので、いろいろな面でスペック的にやりたいことを妥協せずにできたという印象です。

秦 : もともとBMPCC(Blackmagic Pocket Cinema Camera)などのBlackmagic社のカメラは、仕事でも作品でもかなりの頻度で使用してきました。URSA Miniは初めて使用したのですが、タッチパネルモニターがBMPCCとほとんど同じだったので違和感なく操作できました。Blackmagicの色乗りが好きなので、撮影しながら仕上がりのトーンがイメージできたのでよかったですね。
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山中 : RAWデータで収録できるので、データ量も重すぎずカラコレ時に色を調整しやすかったです。自分の感覚としては、今回のように光量が少ない環境でのシーンと、明るいシーンが混在するような撮影に向いていると思いました。シネマトーンで撮影できる広告仕事はそこまで多くはないのですが、機会があればまた使用したいです。
 
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     プロジェクトを通して

山中 : 普段の仕事では、様々な制約の中で映像を作ることがほとんどです。今回のMVのようにある程度余白のある「作品」に近い映像作りは、自分の個性を出せて良い経験になるのでこれからも実写・フルCG問わず続けていきたいですね。

秦 : 映像を撮影する時って、どうしてもコンテに縛られがちですよね。スチールカメラマンはその場での瞬発力に長けていると思うので、今回のように事前に考えていたイメージだけに囚われず、柔軟にやっていきたいです。今後もスチール・ムービーどちらも積極的に取り組んでいきたいと思っています。

 


she her her hers http://sheherherhers.com/
Blackmagic URSA Mini Pro 4.6K G2 
https://www.blackmagicdesign.com/jp/products/blackmagicursaminipro

SPECIAL THANKS TO
Cast : Aki Suzukaze / Ri Iehisa Cinematographer : Kazuma Hata Assistant Cameras : Saeka Doi / Rai Matsumoto Lighting Director : Hitoshi Sato Colorist : Teru Nakashima (Skin correction) / Chie Shuto / Mio Kawano / Hikaru Kanbayashi Stylist : Kazuki Abe Hair & Make up : Moeka Kanehara / Nanami Imamata Car : Rasheen BLOOOM! Drivers : Jun Mihara / Masaetsu Kikuch / Hideo Yagihara Designer : Ryutaro Kimura Special Thanks : Marie Ishikawa Producer : Sana Matsuda Production Manager : Ryotaro Sato Production : amana / Wonderactive Director : Yuki Yamanaka

 


 DIRECTOR 山中祐貴 showreel
https://wondera.jp/


CINEMATOGRAPHER 秦和真 showreel


本作品に関して、10/15発売の幻光社コマーシャルフォト11月号に 山中祐貴と秦和真のインタビューが掲載されています。ぜひご覧ください。
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秦 和真Kazuma Hata

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