広告写真を中心に40年以上の実績を持つアマナには、食のシズル撮影を専門とするプロフェッショナルチーム「hue」があります。
hueが目指しているのは、見た人の気持ちを動かす「おいしい」表現。クライアントや食に関わる人の思いをシズル感のあるビジュアルで伝え、それを見た人が「おいしい」気持ちで満たされる。そんな幸せを生む表現を提案しています。
今回はアマナとhueに所属しており、ゴンチャのメインビジュアルの撮影などの食シズル撮影を担当しているフォトグラファーの大野咲子にドリンクシズル撮影でのポイントをゴンチャの撮影をもとに聞きました。
ドリンクのシズル撮影で大切にしているのは、「商品に視線が集まること」です。周囲に商品の中身をイメージさせるような食べ物や小道具を配置しても、主役であるドリンクが最も際立つように意識して撮影しています、と大野は語ります。
主役である商品にパッと目が行くように、撮影で気を付けているポイントを5点あげてもらいました。
「ゴンチャ SUNシャインマスカット」より
一番見てほしい商品に目が行くように、しぼりを使ってドリンクの前後のピントをボカして前後感を出すことで商品との差を出すようにしています。ビジュアル上の全ての要素にピントが合っていると、全体が平面でのっぺりとした感じになり、何を見せたいのかがあいまいになってしまいます。そのため、前後の要素にはピントを当てないことで立体感を生み出す工夫をしています。
商品以外のシャインマスカットにはピンが来ないように撮影しています。
商品の世界観を1枚のビジュアルで表現する際、全体のトーンが統一されていることが多く、商品の色味と背景色が似てしまうことがあります。
そこで、商品が背景に溶けこまないようにするため、ドリンクのエッジに光を当てて背景との差を強調しています。エッジに光を入れることで、背景とのコントラストが生まれ、商品が強調されて目を惹く効果を生んでいます。
グラスやカップなどを使用するドリンクシズル撮影では、エッジの部分の表現方法だけでも見る人の印象を変えることが出来ます。
「ゴンチャ Cookie & Cream 濃厚チョコレート」より
どれだけイメージ重視で撮影をしても、実際に販売される商品とビジュアル上の商品が異なってはいけません。そのため、実際のレシピを確認し、ソースやゼリーの量など、実物に忠実に、かつ美味しそうに見える工夫をしています。
各商品のテーマは様々なので、ビジュアル表現も一つのパターンにとどまらないことが重要です。ドリンクシズルのビジュアルは、実際にお客様が一口飲む前に、その商品を想像させる重要な役割を担っています。そのため、手に取ったときの重量感を感じさせるよう、立体感を意識して撮影しています。
商品が発売されるのは春夏秋冬、四季折々のタイミングです。そのため、暑い日が続く時期の商品は冷たさを感じられるように、寒い時期には暖かみを感じられるように水滴の量も工夫しています。
「ピチピチピーチ」は今年7月頃に発売されたため、商品には多めの水滴を付け、ピーチの下からも水しぶきが弾けるように表現しています。春から夏の終わりにかけて暑い日が続く季節なので、水滴の量を調整することで、涼しさを演出し、さらに、商品が白い色味の際は、ポコッと大きめの水滴を付けてエッジを際立たせたりします。
昨年の10月に発売した「焼き芋ごくり」の場合は、焼き芋の暖かさを損なわないために冷たいドリンクでも水滴はかなり細かいものを付けています。
ドリンクのグラスやカップは基本的に円柱形なので、その立体感を強調するために、ハイライトを入れることがあります。ハイライトは効果的ですが、商品の色味が薄い場合には目立たないこともあるため、商品の色の濃さや薄さに応じて現場で調整しています。
まとめ
一番大事なことは、商品に目が行くこと!
しぼりを使い前後感を出す
ドリンクのエッジに光を入れる
商品の正確性や世界観を壊さない
発売する時期の季節感に合わせた水滴表現
ハイライトは商品の色味によって調整
撮影のご相談、ご依頼はこちらからお問い合わせいただけます。
編集者のひとこと
竹永将二郎(Producer)
大谷翔平選手の活躍が止まらないですね。その活躍のなかでも、大谷選手は打つ瞬間にほっぺたがプクっと膨らむのが凄いなといつも驚かされます。通常は力むと息が止まりがちなのに、ほっぺたが膨らむくらい息を吐いて力を出せるのは、マジで宇宙人なんじゃないかと疑っちゃいます。(メジャーリーガーも実在の人物か確かめる感じで腕をツンツンしてる人がいましたね。気持ち分かります)
記事が投稿される頃には一体どんな記録を打ち立てているのでしょうか。これからも様々な歴史をひっくり返し続けてほしいです。
1 Oct 2024