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世界一薄い和紙「土佐典具帖紙」の美学を探る

高知県にあるひだか和紙有限会社が生産する「土佐典具帖紙(とさてんぐじょうし)」は、 世界一薄い和紙として知られています。その厚さはわずか0.02mmで、 向こう側が透けて見えるほどの薄さを誇り、文化財の保護や修復に使われる特殊な紙です。

この度、UNのフォトグラファー蒲生ヒロマサが「土佐典具帖紙」の魅力を動画とスチールで表現し、 3つの国際賞を受賞しました。


映像作品「Veil of Japan」では、水の流れを撮影し、「和紙作りに欠かせないのは水であること」を想起させるシーンが特徴的です。白と黒の世界に、紙と水の流れだけが白く浮かびあがる、すべてが削ぎ落とされたミニマムな表現が完成しました。



蒲生は、この紙の薄さと浮遊感を表現するために、さまざまな撮影方法を試行錯誤し、 究極に色を排除した世界観にたどり着きました。 作品では和紙の魅力を引き立てるための工夫が随所に見られます。


蒲生「とにかく薄いので、思ったように紙の動きを操ることができなくて大変でした。小型の扇風機を床に敷き詰め、ごく弱い上昇気流を作り、ゆっくり降りてくるように工夫しました」


2022年の夏から企画が始まり、撮影はその年の10月からスタート。 2023年に編集作業を経て完成し、2024年に各賞にエントリーした結果、以下の3つの賞に輝きました。

  • 「Spikes Asia 2024」 Film Craft部門 CinematographyでSILVER SPIKE受賞

  • ADFEST 2024(アジア太平洋広告祭)FILM CRAFT LOTUS部門でシルバー受賞

  • ADC 103rd Annual Award(第103回 NY ADC賞)でシルバー受賞


蒲生「海外の賞に挑戦するので、『和』をどう伝えるか、そのポイントをブラさないように気をつけました。監督とはよく話し合ってストーリーをイメージさせるビジュアルを撮るのに集中しました」

色を極限まで排除したミニマムな表現は、まさに日本の侘び寂びに通じる光と影だけの世界。その中に、水と和紙のそこはかとない存在を感じさせるエッセンスが詰まったビジュアルを、ぜひご覧ください。 <文/計盛祐子>

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